日々雑感

歴史は、たんなるトリビア的知識の集成ではない。歴史を学ぶとはどういうことか?

第10代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリ=クーパー

以前書いたシャフツベリ伯の子孫が、マスコミを賑わせているらしくある。


初代シャフツベリ伯。Wikimedia Commonsより。


プレイボーイで鳴らした第10代シャフツベリ伯が2004年に行方不明になり、2005年4月、死体で発見された。妻とその弟が殺したのではないか、というのである。裁判は現在進行中だ。妻ジャミラはオランダから来た人らしいが、名前や容貌からしてアラブ系の人らしい。このあたり、微妙に偏見とかあるのだろう。

今のところ、ジャミラの弟ムハンマド氏が実行犯だとする言説と、事故だという主張がある。

1000年近くの歴史を持つ家系の資産が、キリスト教圏の敵になっているアラブ系の女性に渡る。そういうことなのだろうかと想像してみる。そういうことであれば、世論はムハンマド氏による殺人に傾斜しそうである。


さて、ここからはBBCによる第10代伯のプロフィールを紹介してみる。

第10代シャフツベリ伯アントニー・アシュリ=クーパーは1938年5月22日生まれである。

モデル出身のシルヴィア・ホークス*1と結婚したことでロンドンを賑わせた父アシュリー卿は1947年、シャフツベリ伯爵位を継ぐ前に死んでしまった。22歳にして祖父から伯爵位とドーセットの9000エーカー*2の地所を継いだ。オックスフォード大学イートン校で学んだが、大学生のころから(イングランド人からみて)異国情緒のある女性が好きだったらしい。

結婚は3回。28歳のとき12歳年上のアメリカ人女性ビアンカ・ル・ヴィアン(伯の浮気が原因で1966年離婚)、38歳でスウェーデン外交官の娘クリスティーナ・カッセラ、そして三人めが件の女性ジャミラ・ムバラクである。第11代伯爵のアントニー(05年死亡)、第12代伯のニコラス(当代)は、ともにクリスティーナとの間の子である。

ロンドンとブライトンに家があったが、シャフツベリ伯の不動産のほとんどはフランスにあった。ヴェルサイユのアパートメントには三百万ポンド*3相当のアンティーク家具があり、さらにトゥールーズ近郊に邸宅、カンヌにアパートメントを所有していた。

シャフツベリ伯は大酒飲みで、コートダジュールのホステス・バー*4に足しげく通っていた。友人が伯を評して曰く「ラップ・ダンサーを救う専門の慈善家」であった。ところがこうした趣味が、ロシアや北アフリカの「業界」の人たちと関係をもつきっかけになったようで、ギャングの一人が伯に精神的圧迫を加えていたことと、伯の失踪の関係を追っていた。ガスライトの恐怖*5が伯の精神的安定を蝕んでいたらしい。

アシュリ=クーパーの家系はノルマン・コンクエスト(1066年)にまで遡り、ホイッグ党の開祖(founder)を祖先に持っている。第10代シャフツベリ伯アントニーは、弱くてもろいところはあったにしても、気前のいい好感の持てる人物だったと友人は言っていた。


*1 のちに俳優ダグラス・フェアバンクスと再婚。
*2 36平方キロ、東京ドーム780個分。あまりピンとこないですね。皇居1600個分。南大東島よりちょっと広いくらい。北浦湖と同じくらい。葛飾区よりやや広い。全国1827市区町村の面積ランキングあたりで面積を想像してみましょう。
*3 6億円ちょっとくらいかな?
*4 日本でいう高級クラブみたいなもんかな。
*5 現地の人たちは1944年の映画「ガスライト」を思い起こしているらしい。ガスライトについて、詳しくはガスライト:in the whiteroom,wearing a blackdress...参照。

≪ サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドホーム門外不出の技 ≫

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英国貴族殺人事件に決着がついたようです

以前エントリしたシャフツベリ卿の殺人事件の裁判がニースであったようで、犯人とされ...

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