日々雑感

歴史は、たんなるトリビア的知識の集成ではない。歴史を学ぶとはどういうことか?

17世紀(14)

それゆえに、17世紀の歴史を、1688年/1642年から目的論的に遡って書いたり、変化が望まれていた前提で書くのは大きな誤りである。17世紀のイングランドではたびたび社会不安・危機が訪れたが、このような危機がなぜ起きたかを究明するには、いますこし「旧来の法」の理論、特に王の権限にあたる部分について掘り下げてみたり、前期ステュアート朝(訳注:1603-1642年)の君主政体における統治・法の理論と実際の統治の違いについて考えることが必要になってくる──と私は考える。

kanameishi
かなめ石なるもの。アーチ状の建築物の中央、
つまりてっぺんに挟み込ませて、安定度を高めるものらしい。
wikimedia commonsより。


イングランドは複雑でバランスの取れた法体系を有している、と一般的に考えられているようで、実際に法体系は王の権力と臣民の権利のバランスを取るという意味で健全だったといえなくもない。この点については、ピム*やストラフォード**も同意することだろう。王による支配は、統治の基本であるという点でも一致している。ストラフォードの弁を借りれば、「王の権威はいわば、アーチ頂上のかなめ石であり、さまざまな部署からなる政府は、ひとたび変事がおこれば、王なしではすべての組織が崩れ去り、内部対立を起こすものなのだ」。臣民たちに公平な処置を下せるのは、ひとり王だけであった。さまざまな部署・地方から要望が止めどなく上がって来て、なかには互いに対立するものもあった。さらに外交政策でも意見の対立があり、結局これらをまとめて判断をくだすことが王に期待されていた。国王大権・王の統治に異を唱える者は皆無だった。異論が出てきても、それは王権そのものに対してではなく、ある問題に対する判断についての異論、つまり各論についてであった。

*ジョン・ピム:ピューリタン。短期議会〜清教徒革命で国王に叛旗をひるがえした政治家のひとり。
**ストラフォード伯トマス・ウェントワース:国教会信徒の大物政治家、国王派。1641年に処刑される。詳しくはwikipediaのストラフォード伯のページ参照。ようするにピムとストラフォードは水と油の好例として引っ張り出されたわけである。
えー久しぶりにやってみました。誤訳たぶんあり。ストラフォードの発言あたりとか。つーか昔の人の文章、文法の弱い私には辛いです。はい。これまでの分については、こちら参照してくださいませ。
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